「スピリチュアル」の源流に位置する人物エマニュエル・スウェーデンボルグとは?―スピリチュアル史解説[コラム]
掲載日時:2009.09.04 18:00 コメント [0] , トラックバック [0]
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ところで、みなさんはエマニュエル・スウェーデンボルグ(1688-1772)という名前を聞いたことがあるでしょうか? 実は今日、「スピリチュアル」と呼ばれる様々な思想や実践を歴史的に遡って行くと、まさにその源流ともいうべきポジションにいるのが、まさしくスウェーデンボルグという人物なのです。
「スウェーデンボルグを知らずして、スピリチュアルを語るなかれ」と誰かが言ったかどうかは不明ですが、彼の後世に残した影響は、知れば知るほど非常に大きなものだったことがわかります。ということで、今回はスウェーデンボルグについて簡単に紹介してみたいと思います。
1688年1月25日、スウェーデンのストックホルム生まれ。スウェーデンボルグの生涯を辿ってみると、若い頃は「スピリチュアル」な人だったわけではなく、テクノロジーへの関心が高く、応用科学の分野で活躍していた人でした。特に、1734に出版した『哲学と鉱物学の著作集』(Opera Philosophica et Mineralia)において、彼は鉱物学者としての高い評価を当時のヨーロッパで獲得しています。
ところが、50代半ばを迎えた頃から、スウェーデンボルグは様々な幻視を見るようになり、科学者としての活動を離れ、完全に「スピリチュアル」な人となっていきます。その当時の彼の幻視は、死後、『夢日記』(Drömboken, 1859)と題され刊行されたため、今日のわたしたちも、それがどのようなものであったのかを知ることができます。いずれにせよ、「スピリチュアル」な人になった後のスウェーデンボルグは、1772年に亡くなるまで、数多くのスピリチュアル本の執筆に生涯を捧げることになります。
ここで彼の著作に見られる霊的思想を詳述するゆとりはありませんが、「人間が死んだ後どうなるのか」についての彼の克明な描写は、その分野に関心を持つ多くの人々に決定的な影響を与えました。特に、その後19世紀半ばにアメリカ合衆国を中心に起こった「近代スピリチュアリズム」と呼ばれるムーヴメントは、スウェーデンボルグの影響なくして語ることはできないでしょう。
おそらくスウェーデンボルグの残した本の中で、今日、最もよく読まれているのは、『天国と地獄』(1758)だと思われますが、それを実際にひも解いて驚くのは、死後の世界の様子が非常に具体的かつ詳細に描写されている点です。ちなみに、20世紀のアルゼンチンの有名な作家ホルヘ・ルイス・ボルヘスは、「彼の作品は、見知らぬ土地を旅し、その様子を冷静な態度で厳密に描き出していく旅行者の記録を思わせる」とも述べています。
「旅行者の記録を思わせる」というボルヘスのコメントは、スウェーデンボルグにしてみれば、「そりゃ当たり前だろ」というところでしょう。というのも、スウェーデンボルグ本人が言うには、彼の描く死後の世界は、実際にそこを訪れ、霊や天使たちと直接語りあった体験をもとにしたものだからです。
それにしてもスウェーデンボルグは、どうやって死後の世界を見てきたのでしょうか?
もちろん、スウェーデンボルグが見た死後の世界は、単なる幻覚、あるいは夢を見たに過ぎないのではないか、あるいはスウェーデンボルグは頭がおかしくなってありもしないものを見ただけだ、という意見が「理性ある」人々から出ても不思議ではありません。
現に、ドイツの精神科医・哲学者として有名なカール・ヤスパース(1883-1969)のような人物は、スウェーデンボルグの幻視をある種の「精神病」だと決めつけています。しかしながら、伝えられているスウェーデンボルグの人生からは、精神の荒廃、そして狂気への転落を辿ったという病跡もなく、彼はこの世を去るまで、日常生活を支障なく正常に送り続けています。
一方で、スウェーデンボルグ自身が語っているところを読むと、彼の霊界探訪は、今日ならば「変性意識」、あるいは「トランス」、さらにはそれにともなう「体外離脱体験」(out of body experience)と呼ばれるような状態で行われたように思わせる記述も見られます。すなわち、トランス状態になり、肉体を離れた霊魂が死後の世界へと向かっていく。どうやら、それがスウェーデンボルグの霊界探訪のひとつの方法だったように思われます。
先月書いた「チャネリング」に関するコラムでも「トランス」という意識状態が、その実践の鍵として登場しましたが、ここでも再びそこへと話題が向かわざるをえません。「トランス」については、機会を改めて詳述できればと思っています。
最後にスウェーデンボルグに興味を持った方のために、日本語で読める分かりやすい文献を紹介しておきます。
高橋和夫著『スウェーデンボルグの思想――科学から神秘世界へ』(講談社現代新書)(ただし、これは現在絶版となっているかもしれません)、あるいは同著者による『スウェーデンボルグの「天界と地獄」』(PHP研究所)。スウェーデンボルグの生涯と思想をコンパクトにまとめているこれらの本は入門として最適です。
[Wiki:エマヌエル・スヴェーデンボリ、日本ヤスパース協会]
(伊泉龍一)
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エマヌエル スウェーデンボルグ (著), Emanuel Swedenborg (原著), 鈴木 泰之 (翻訳)

高橋 和夫 (著)

高橋 和夫 (著)
掲載日時:2009.09.04 18:00 コメント [0] , トラックバック [0]
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